令和3年度最高裁判決 夫婦同姓は合憲
「夫婦同姓規定を合憲とする最高裁大法廷決定」(令和3年6月23日)
原告は、「夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する」旨を記載した婚姻の届出が不受理処分を受けたことは、憲法14条、24条、98条に違反して不当であるとして、戸籍法122条に基づき、届出の受理を命ずるよう申し立てた。家裁は訴えを退け、東京高裁も即時抗告を棄却したため、最高裁に特別抗告。最高裁は平成27年判決を踏襲し、夫婦同姓規定を合憲とする決定を下した。
合憲判断の要旨
民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは、当該裁判所(筆者註:最高裁判所)の判例とするところであり(「平成27年大法廷判決」)、上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは、平成27年大法廷の趣旨に徴して明らかである。
平成27年大法廷判決以降にみられる女性の有業率の上昇、管理職に占める女性の割合の増加その他の社会の変化や、いわゆる選択愛的夫婦別氏(筆者註:選択的夫婦別姓)制の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化といった原判決が認定する諸事情等を踏まえても、平成27年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。憲法24条違反という論旨は、採用することができない。
なお、夫婦の氏についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と、夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法適合制の審査の問題とは、次元を異にするものである。本件処分の時点において本件各規定が憲法24条に違反して無効であるといえないことは上記のとおり、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄のほかならないというべきである。
(最高裁判所大法廷の判断について全文をお読みになりたい方はこちらから↓)
夫婦同姓は「憲法違反だ」とする推進派がいます。
一般社団法人あすには代表理事の井田奈穂氏や、彼女たちと活動を共にしている人権派弁護士の寺原真希子氏は、こちらの最高裁の判断を不服として、第三次訴訟を起こしているとの情報もあります。
しかし、最高裁大法廷では、「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄のほかならない」といっており、また「国民の意識の変化」を考えるなら、旧姓の通称使用拡大について国会は議論するべきなのです。
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🔳近藤倫子(こんどうりんこ)1975年生、日本女子大学卒。児童家庭支援士、著述家。月刊WiLL、Gakken、展転社等での執筆と連載。夕刊フジへの寄稿。デイリーWiLLをはじめとするネット番組多数出演。子供の心の発達に関する講演、子育てや日本を伝える講演会も多数登壇。
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