内なる国防は家庭に在り−欧米の価値観の侵略から国を守るー
今号『新聞アイデンティティ』は6面に「皇統(父系男系)を守る国民連合の会」葛城奈海会長の寄稿も掲載されてます。書店やコンビニエンスストアでは売ってないので、興味のある方『新聞アイデンティティ』にお問い合わせをしてみて下さい。
国防に、二種類あり
国防には二種類あると筆者は定義している。国の外側に向けた外向きの国防、外交や軍事などの一般的に想起される国防のことである。もう一つは国の内側に向けた内向きの国防である。これが筆者の唱える「内なる国防」である。
国の外側から入ってくる欧米的な価値観や共産主義思想、筆者はこれらを「価値観の侵略」と名付けている。これらから日本人を守るためには「内なる国防」としての機能が必要である。三島由紀夫が言った「魂の防波堤」に似た概念である。
ではこの「内なる国防」の機能を発揮する場所どこが相応しいであろうか。学校教育にはもう期待できない。大東亜戦争後、GHQによって日本の教育現場はすっかり変わってしまったからだ。その名残は令和の時代の現代でも日教組や中高生の歴史教科書に残っている。そしてGHQのWGIPの影響は年々大きくなってきている。戦後の日本の魂を消し去ろうとしているのは米国だけではない。コミンテルン、共産主義もまた同様である。GHQは教育を、共産主義は家庭を、それぞれ破壊目標としたのであろうと筆者は捉えている。
学校教育に関して言えばますは日本の歴史から神話が消えた。大和民族の誇りを失わしめる為であった。そして大東亜戦争の大義を消し、「あの戦争は日本人が悪かった、大陸と朝鮮半島への侵略を企てた」と喧伝する為の道具とされたのである。そして修身と礼法が消された、美しき日本人の行動様式を消す為に。皆がお国の為に、また日本人として慎ましく楽しく暮らす事即ち日本人の文化と伝統が、偏向した学校教育によって消去される事を意図していたと筆者は考える。
焚書になった書物はある出版社の調査によると七千冊以上あると言う。これも日本人の民族の誇りを消失する為である。その効果は、現代の学校教育とそれによって教育された大人達の姿を見ればよく分かるだろう。
共産主義者によって破壊されつつある家庭はどうだろうか。戦後の高度経済成長は経済の視点で見ればとてつもない成果であった事は皆が知る知るところだ。ところが家庭生活はどうだろうか。田舎という地域共同体から出てきた若者(当時)が都会で結婚をして核家族構成していった。
1950年代になって現れた「戦後の三種の神器」の普及で、主婦達は家事の手間が掛からなくなり、子育てに勤しんだ。これは大変に結構な事であるが、日本人としての価値観が薄まり始めていた当時の母親達は何を基準として子育てをしたら良いのか分からずに、目に見えてわかる学力、学歴に固執した、いわゆる受験戦争の始まりである。
そ育てや家事に手間暇をかけることを忘れた母親達の中には、米国から入り込んだ女性解放運動=男女平等に熱中する者も現れた。
家庭が欧米の価値観から子供を守る
女性も男性と同じように対等であるべきだとの欧米の価値観がゆっくり日本人を侵食し始めたのは明治開国の後も同じであったが、その頃はまだ国民の中に日本人としての価値観が根付いていた為に、一部の知識人を除いては欧米発の価値観に侵される事はなかったが、戦後は事情が違う。人々の中から日本人としての価値観が失われ始めていたので、欧米発の価値観が日本人を侵食するのは容易かったでろう。
男女平等という言葉はやがて男女共同参画社会へと変化をし、女性、そして母親までもが仕事をする事が素晴らしい事であると言われるようになった。子育ては保育所に任せれば良い、専業主婦は前時代的であるとマスコミはこぞって喧伝するようになった。1990年代のトレンディドラマがそのいい例である。結婚や出産よりも、一人の女として男と同じように社会で働く事が「かっこいい」として、当時の若い女性達は洗脳されていった。1980年代から少子化傾向が現れていたにも関わらずに、だ。
筆者はこういった欧米発の価値観が日本人を侵食していく様を「価値観の侵略」と名付けた。この「価値観の侵略」は男女平等(フェミニズム)、男女共同参画に端を発して、ジェンダーフリー、SDGs、LGBTと次々と襲いかかってきている。
知識のある大人は大人は抗う術もあるだろうが、子供はどうか。幼稚園や保育所、学校で浴びせかけられる悪意を隠した「ジェンダーフリー、SDGs、LGBT」から逃れる事はできない。筆者が唱える「内なる国防は家庭に在り」というのは、こう言った価値観の侵略から子供達を守る事なのである。
家庭の中で、子育てを通して愛国心を育み、正しい歴史や文化伝統を子供達に伝える事が大切なのである。そして日本人としての価値観を身につけた子供達はやがて日本を支える現役世代となる。その中には経営者や自衛隊員になる者もいるだろう。官僚や政治家になる者もいるかもしれない。
正しい国家観を持った大人、良い日本人を育てる行為が子育てであり、国を内側から守る事に繋がるのである。「内なる国防は家庭に在り」は、価値観の侵略から国を守る為の手段と言えるのである。
LGBT理解増進法の実害、教育現場に
昨年6月に強行採決で法制化されたLGBT理解増進法(以下LGBT法)は、学校教育にその触手を伸ばしている。
第6条の2には「学校の設置者は基本理念(第3条)に則り、性的指向又はジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童、生徒又は学生(以下児童。筆者註:就学時から高校生までが対象と推測される)の理解増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の帰化の確保等を行う事により性的指向又はジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向又はジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するように努めるものとする。」とある。
これは学校教育の現場にLGBT活動家を当事者として、啓発の名の下に子供達におかしな思想を植え付けることを目的としている。性別は二種類ではないと教え、「あなたも体と心と脳は別々の性別ですよ」唆す行いを画策しているのである。
また、環境の整備としてトイレや更衣室を男女同じものに作り変え、その事により利益が生じる者達がいるであろう。相談の機会の確保とは、自分の悩みが性別に関するものなのか何なのか判然としない10代の児童に対して「あなたの悩みはジェンダーアイデンティティに因るもの」と誘導するようなカウンセリングが行われる可能性は否定できない。詳しくは『トランスジェンダーになりたい少女たち』(産経新聞出版)を参照して頂きたい。この本は差別を促すようなものではなく、教師やカウンセラーの悪意ある誘導によって10代の少女達がホルモン治療や外科手術により深い傷を負っていく様子を丹念に描いたルポである。
日本では昨年KADOKAWA出版社が刊行の発表をしたが、その途端に一部活動家からの誹謗中傷や脅迫によって出版を断念した経緯がある。単なるルポである本書をそうまでして出版を断念させるとは、本書の内容が正しいからに違いないと筆者は感じた。恐らく日本にいるLGBT活動家も、本書と同じ流れを企図しているに違いないと直感的に感じた。
令和7年度から使用される教科書にも、このLGBT法が影響を与えている。性的少数者に関連した「性自認」「性的指向」等の学習指導要綱の範囲外の内容が「発展的内容」として全ての教科書に掲載される。これにより子供達は男女といったこの地上に二種類しか存在しない生物学上の性別を超えた、あたなが混乱する教育を受ける事になるのだ。男女の区別が曖昧となり、それ以外の何だかよく分からない性別が思考にインプットされれば、自我の確立にも大きな影響を与えるだろう。少子化はさらに進むであろう。
このような価値観の侵略は、今や悪意を隠さずにやって来ている。この侵略から子供達を守る事ができるのは、家庭内の中での親子の会話である。
温かな信頼関係が構築されている親子の関係性、愛されている実感を子供が感じられる家庭、これが今後の日本を守ると筆者は考える。(『新聞アイデンティティ』第131号より転載)
今回はかなり真面目な内容となりました。たまには良いですよね、こんな感じも。

http://www.tokyo-entotsu.com/
今日のスイーツは大手町タワーにある「東京えんとつcafe」の、チョコえんとつ😊
生シフォンケーキとチョコクリーム、生クリームの相性がよくて、ほっこりする美味しさです。
「りんこスイーツ部」入部はこちら
ではまた次回😊
🔳近藤倫子(こんどうりんこ)1975年生、日本女子大学卒。児童家庭支援士、著述家。月刊WiLL、Gakken、展転社等での執筆と連載。デイリーWiLLをはじめとするネット番組多数出演。子供の心の発達に関する講演、子育てや日本を伝える講演会も多数登壇。
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